松永京子著『北米先住民作家と<核文学>-アポカリプスからサバイバンスへ』2019、英宝社
リンガヒロシマは、著者の松永京子神戸外国語大学准教授からこの本の寄贈を受けました。「核文学」という領域に関し、今後の研究者にとって必読の書になると思われます。他言語で出版されて、世界で共有してほしい本です。2006年に受理された博士論文に大幅な加筆修正をし、学術雑誌や共著本の一部として日本語や英語で発表した複数の論文で構成。北米先住民作家による文学作品6点を取り上げ、先住民のサバイバルの物語を人類が直面している核による全面破壊の危機と対峙させます。第六章では、先住民保留地出身のジェラルド・ヴィゼナー『ヒロシマ・ブギ』と大田洋子『夕凪の街と人と』に共通する「見せかけの平和」や「平和のイカサマ師」への拒絶ーについて論述。大田作品に新たな切り口で迫ります。巻末の引用参考文献リストは、研究者にとって資料の宝庫です。